真鍮の種類と特徴を解説!マテリアル記号で見分ける方法

真鍮は、金属加工や装飾品など様々な分野で広く使用される素材です。しかし、真鍮にはさまざまな種類や特徴があり、その違いを理解することは重要です。本記事では、真鍮の種類と特徴について詳しく解説します。また、真鍮の中でも特に重要なマテリアル記号についても紹介し、見分ける方法をご紹介します。真鍮に関心がある方や、金属加工に携わる方々にとって、この情報はきっと役立つことでしょう。それでは、真鍮の奥深い世界に一緒に深く掘り下げていきましょう。
真鍮とは
真鍮の定義と歴史
真鍮は、銅を主成分とする合金で、亜鉛が加えられることによって成分が決まります。この合金は、古代エジプト時代から存在し、金属の加工技術が進んだことにより、さまざまな分野で広く使用されるようになりました。真鍮は、その耐食性、耐摩耗性、加工性が優れており、今日では多くの産業で重要な素材となっています。
真鍮の基本的な特性
特徴 | 詳細内容 |
---|---|
耐食性 | 銅が主成分であるため、自然環境での耐食性が高い |
機械的強度 | 高い強度を持ち、耐摩耗性にも優れる |
加工性 | 切削性が良好で、精密な加工が可能 |
熱伝導性 | 高い熱伝導性を持ち、熱を効率的に伝える |
美しい外観 | 金色の輝きを持ち、装飾品や金属製の工芸品に多く使われる |
真鍮の主な特性
- 耐食性: 湿気や化学薬品に対して非常に強い耐性を持つため、屋外や腐食の危険がある環境でよく使用されます。
- 耐摩耗性: 摩擦や摩耗に強いため、長期間の使用にも耐える素材として、高負荷部品に使用されます。
- 加工性: 加工がしやすく、精密な部品の製造に適しています。特に、複雑な形状の製品や細かいパーツに加工するのに適しています。
- 美しい外観: 光沢があり、金属としての美しさを持つため、装飾品や貨幣、記念品に使用されることが多いです。
真鍮の種類と用途
真鍮はその成分の違いにより、いくつかの種類に分けられます。それぞれの種類が持つ特性に基づき、用途が異なります。
種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
黄銅 | 亜鉛含有量が高く、強度が高い | 機械部品、バルブ、ポンプ部品、建築金物 |
赤銅 | 亜鉛の含有量が少なく、銅に近い特性を持つ | 装飾品、楽器、コイン、精密機械部品 |
アルミニウム真鍮 | アルミニウムを含むことで耐食性や強度がさらに向上 | 船舶部品、航空機部品、高耐食性が求められる部品 |
リン銅真鍮 | リンを加えることで靭性が向上し、耐摩耗性が強化される | 電子機器部品、接点、精密な歯車など |
真鍮はその特性を活かし、自動車、電子機器、装飾品、機械部品、楽器などさまざまな分野で利用されています。また、その加工性の良さから、特注部品や精密機器にも広く使用されています。
真鍮の特徴
物理的・化学的特性
真鍮は、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金で、金属製品の中でも非常に広く使用されています。合金の割合によって、さまざまな種類の真鍮があり、それぞれが特有の物理的・化学的特性を持っています。真鍮の特徴的な特性により、非常に多くの産業分野で活用されています。以下に、真鍮の主な特徴をさらに詳しく説明します。
耐食性
真鍮は腐食に強い特性を持っており、特に湿度が高い環境や海水に触れるような過酷な環境でも耐久性を発揮します。銅と亜鉛が作る合金は、酸化に対する耐性が高く、長期間にわたる使用でも性能を維持することができます。特に海洋環境や化学的に過酷な条件下で使用される機械部品やパーツに適しています。
加工性
真鍮は非常に加工しやすい金属です。切削性が良好で、精密加工や複雑な形状の部品製造が可能です。また、熱間加工や冷間加工、圧延、鍛造など、さまざまな加工方法に対応できます。このため、真鍮は精密部品、装飾品、そして大量生産の部品製造において、非常に多く使用されています。
強度
真鍮は比較的高い強度を誇り、耐久性の要求される機械的な負荷がかかる用途にも十分に耐えることができます。特に、亜鉛の割合を調整することで、強度や硬度をさらに向上させることができます。このため、自動車部品、電子機器部品、機械部品、工具など、さまざまな分野で使用されています。
美しい外観
真鍮の最も特徴的な部分の一つは、その金色の輝きです。真鍮は時間が経過しても、その美しい色合いを保ち、経年変化により独特の味わい深さが増します。この特性により、装飾品、家具の金具、インテリアアイテムなどに非常に好まれています。
音響特性
真鍮は音響特性が優れており、楽器やオーディオ機器に使用されることもあります。特に、楽器ではその音色の明瞭さと響きの良さが評価されています。金管楽器や一部の弦楽器にも真鍮が多く使用されている理由です。
耐摩耗性
真鍮は耐摩耗性にも優れており、機械的な摩擦に対して耐久性を発揮します。この特性から、耐摩耗性が求められる部品に広く使用されており、長期間の使用に耐える部品や装置に最適です。
真鍮の種類
真鍮にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる合金の割合や特性を持っています。以下に主な種類とその特徴、用途を示します。
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
黄銅 | 銅を主成分とし、金色の輝きを持つ。耐食性と加工性が高く、装飾用や精密部品に使用される。 | 装飾品、建材、楽器、機械部品、電子機器の部品 |
赤銅 | 亜鉛を主成分とし、赤みがかった色合いが特徴。強度が高く、耐摩耗性にも優れる。 | 精密機械部品、耐摩耗部品、自動車部品、工具 |
青銅 | 銅とスズを合金したもので、黄銅よりもさらに耐食性が高く、硬度が増す。 | 彫刻、装飾品、銅像、楽器、機械部品 |
錫青銅 | 錫を含んだ合金で、青銅よりもさらに耐食性、強度が向上。特に海洋環境で活躍。 | 船舶部品、海洋機器、耐腐食部品、軍事用途 |
真鍮の主な特性
- 耐食性
真鍮は湿気が多い環境や海洋環境でも優れた耐食性を発揮します。銅と亜鉛が腐食を防ぎ、特に長期にわたる使用でもその性能を保ちます。これにより、真鍮は屋外用機器や海洋機器の部品に最適です。 - 加工性
切削性が非常に高く、精密な部品や複雑な形状を作成するための加工が可能です。また、鍛造や圧延、さらには鋳造にも対応しており、部品製造の際に非常に便利な素材です。 - 強度
真鍮は強度が高く、亜鉛の割合を調整することによってさらに強度を増すことができます。このため、機械的な負荷や衝撃に強い部品を作るのに適しています。 - 美しい外観
真鍮はその美しい金色の輝きにより、装飾的な用途でも使用されます。特に、時間が経過すると表面に独特の風合いが生まれるため、インテリアデザインやアクセサリーにも好まれます。 - 音響特性
真鍮は音波をうまく反射し、響きがよいため、楽器の素材として使用されることが多いです。特に、金管楽器やシンバルなどでその音響特性が活かされています。 - 耐摩耗性
耐摩耗性が高いため、摩擦が多い部品や環境でも長期間使用が可能です。これにより、機械部品や耐摩耗性が必要な工具の素材として非常に適しています。
真鍮の識別方法
真鍮はその種類ごとに異なるマテリアル記号で識別されます。主な識別記号は以下の通りです:
- 黄銅: 「CZ」
- 赤銅: 「CZC」
- 青銅: 「BZn」
これらの記号を確認することで、どの種類の真鍮かを簡単に判断することができます。また、合金の比率や化学組成により、より細かい分類が可能です。
真鍮の色と光沢
金色の光沢
真鍮は銅と亜鉛が組み合わさることによって、特徴的な黄色い金属光沢を持っています。この金色は、真鍮の最も大きな特徴の一つであり、装飾品や建築材料など、見た目が重視される製品に多く使用されています。
加工後の光沢
真鍮は、適切な研磨や仕上げによって、長期間その光沢を保つことができます。特に装飾品や金細工では、真鍮の表面を美しく仕上げることが重要視され、光沢がその魅力を引き立てます。
経年変化
真鍮は時間が経過すると、酸化が進み、表面の色が少し暗くなったり、鈍くなることがあります。しかし、この経年変化は「アンティーク」な雰囲気として楽しむことができ、多くの人々に好まれています。特に装飾品や家具などでは、時間を経た変化が価値を増すこともあります。
真鍮の種類
真鍮は銅と亜鉛を主成分とする合金ですが、合金の組成や用途に応じて多くの種類があります。ここでは、代表的な真鍮の種類について説明します。
C2600(黄銅)
- 特徴: 銅の割合が約70%で、亜鉛が30%を占める。耐食性に優れ、加工性も高い。
- 用途: 精密機械部品、電気部品、装飾品などに使用されます。
C2680(黄銅)
- 特徴: C2600よりも亜鉛の含有量が多く、強度と耐食性が向上しています。主に機械的特性が重視される用途に適しています。
- 用途: 工具、機械部品、耐摩耗部品に使用されます。
C2801(黄銅)
- 特徴: 銅と亜鉛のバランスが良好で、耐食性に加えて加工性も優れています。
- 用途: 装飾品や精密機械部品、楽器などに使用されます。
C3604(黄銅)
- 特徴: 高い加工性を持ち、特に切削加工性が良好で、機械部品や精密部品に適しています。酸化にも強い。
- 用途: 精密機械部品、自動車部品、電気接点、バルブなどに使用されます。
C4641(ネーバル黄銅)
- 特徴: 銅、亜鉛に加え、少量の鉛を含んだ合金。特に耐食性が高く、海洋環境において優れた性能を発揮します。耐摩耗性や耐海水性が求められる場所で使用されます。
- 用途: 船舶の部品、海洋用機器、耐腐食性を求められる部品。
C1100(銅)
用途: 電気機器や配線、熱交換器、精密機器などに広く使用されます。
特徴: 銅の純度が99.9%以上で、真鍮ではなく純銅の部類に入りますが、電気伝導性や熱伝導性に非常に優れています。
真鍮の熱伝導性と電気伝導性
特性 | 説明 |
---|---|
熱伝導性 | 真鍮は優れた熱伝導性を持ち、熱を効率的に伝えることができる。銅よりは低いが、亜鉛と銅の相乗効果で高い性能を発揮。 |
電気伝導性 | 真鍮は銅に次いで優れた電気伝導性を示し、電気部品やコネクターに広く利用される。銅の約28%~35%の伝導率。 |
熱伝導率 | 真鍮の熱伝導率は銅の約60%程度であり、冷却部品や熱交換器に使用される。 |
電気伝導率 | 真鍮の電気伝導率は銅の約28%~35%程度であり、電気接点やコネクターなどに適している。 |
コスト効果 | 真鍮は銅よりもコストが低いため、コストを抑えつつ優れた熱・電気伝導性を必要とする用途に利用される。 |
耐久性 | 真鍮は耐食性や耐摩耗性に優れており、長期的な使用でも高い性能を維持する。 |
真鍮のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
強度と耐久性: 真鍮は非常に強く、耐久性が高い。多くの産業で長期間使用できる。 | 価格: 銅と亜鉛の合金であるため、製造コストが他の素材より高くなる場合がある。 |
耐食性: 湿気や腐食に強く、屋外環境でも使用可能。 | 酸化による変色: 経年劣化で酸化が進み、色が変わる可能性がある。 |
美しい外観: 光沢があり、装飾品やインテリアに最適。 | 加工性の限界: 一部の高硬度の真鍮は加工が難しい場合がある。 |
熱伝導性と電気伝導性: 優れた伝導性で、電子機器や冷却部品に適している。 | 重さ: 他の軽量な合金に比べてやや重い。 |
高い加工性: さまざまな形状に加工でき、精密部品に利用可能。 | 環境への影響: 鉱石の採掘や製造過程で環境への負荷がある。 |
真鍮の強度と耐久性
真鍮は強度と耐久性に優れ、長期間使用可能な金属素材です。銅と亜鉛の合金であるため、耐腐食性があり、特に外部環境での使用においてその性能を発揮します。特に建材、装飾品、機械部品などでは、その耐久性が求められるため、真鍮が多く使われています。
- 強度: 真鍮はその硬度と引張強度によって、摩耗や機械的衝撃に強い。
- 耐久性: 耐食性が高いため、湿気や化学物質に触れても長期間使用が可能です。
真鍮の加工性と適用範囲
真鍮は、加工性の高さから多くの産業で利用されています。切削、鍛造、圧延などの加工方法で精密な形状に成形でき、楽器、装飾品、機械部品、電気接点などに使用されます。
- 加工のしやすさ: 高い加工性を持ち、精密部品や複雑な形状を作るのに適しています。
- 外観と耐食性: 美しい金色と耐食性が特徴で、装飾品や屋外使用が多い製品に最適です。
真鍮のコストと環境への影響
真鍮の製造は、銅と亜鉛の原料を使用しますが、その過程で環境への影響が考慮されるべきです。鉱石の採掘や精錬過程で発生する排出物が環境汚染を引き起こす可能性があります。真鍮のリサイクルは非常に有効で、持続可能な方法での使用が求められています。
- 環境問題: 製造過程でのエネルギー消費や排出物による影響が懸念されます。
- リサイクルの重要性: 真鍮はリサイクルが可能で、リサイクルすることで環境への負担を軽減できます。
真鍮の加工適性
加工方法
加工方法 | 特徴 |
---|---|
切削加工 | 真鍮は柔らかく、切削加工が容易で、旋盤やフライス盤を使用して精密な部品を製作可能。摩擦が少なく、良好な仕上がりが期待できる。 |
圧延加工 | 延性が高く、薄板や箔を作成可能。建築材や装飾品として広く利用される。適切な温度管理が品質向上に重要。 |
鋳造 | 複雑な形状を一度で作成可能。特に大きな部品や複雑なデザインに適しており、低温での鋳造が可能。 |
押出し加工 | 長尺の形状(パイプや棒など)を作成可能。押出し温度や冷却の管理が重要。精度の高い製品が得られる。 |
溶接 | 低温で溶接が可能だが、亜鉛成分が溶け出しやすく、煙が発生。換気を良くし、亜鉛蒸気を避けることが重要。 |
加工時のポイント
ポイント | 詳細説明 |
---|---|
工具の選定 | 真鍮は加工しやすい金属だが、工具の摩耗を防ぐために鋭利な切削工具を使用することが推奨される。 |
冷却・潤滑 | 適切な冷却材や潤滑剤を使用して、熱の発生を抑え、工具の寿命を延ばすことが重要。 |
亜鉛蒸気への対策 | 高温加工(特に溶接や焼き入れ)時に亜鉛蒸気が発生するため、作業場の換気を良くし、防護具を使用して健康を守る。 |
加工適性のまとめ
加工方法 | 特徴 |
---|---|
切削加工 | 加工が容易で精密な部品を作成可能。 |
圧延加工 | 薄板や箔の製作に適しており、建材や装飾品に活用される。 |
鋳造 | 複雑な形状が一度で作成可能で、大きな部品にも適している。 |
押出し加工 | 長尺の形状を作成可能で、パイプや棒などに利用される。 |
溶接 | 低温で溶接可能だが、亜鉛蒸気に注意。 |
加工後の仕上げと保護
真鍮は耐食性が高く、加工しやすい特性を持っています。真鍮を選定する際、マテリアル記号(例:CZ131、CZ132)により、その特性を把握することが重要です。適切な選定と加工後の仕上げを行うことで、高品質な製品を作り上げることができます。
銅と真鍮の材質の違い
特性 | 銅 | 真鍮 |
---|---|---|
成分 | 主に銅(Cu) | 銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金 |
強度 | 比較的柔らかく、延性が高い | 亜鉛が加わることで強度が向上、硬さも増す |
耐腐食性 | 優れた耐腐食性を持つが、真鍮に比べてやや劣る | 亜鉛の効果で優れた耐腐食性、特に湿気に強い |
熱伝導性 | 高い | 銅より低いが、依然として良好 |
電気伝導性 | 非常に高い | 銅より低い |
加工性 | 柔らかく、加工が容易 | 加工がやや難しくなるが、強度がある |
用途 | 電気配線、建材、装飾品、楽器 | 機械部品、建築、装飾品、楽器 |
銅と真鍮の特性の比較
- 銅は主に電気伝導性や熱伝導性が高く、耐腐食性にも優れていますが、強度は比較的低いため、延性を生かした用途に向いています。
- 真鍮は亜鉛を加えることで強度が増し、硬さや耐腐食性が向上します。特に湿気に強いため、屋外や海洋環境で使用されることが多いです。また、加工性が良好であり、強度が要求される場面に適しています。
真鍮の種類と特徴
真鍮の種類 | 成分比率(銅:亜鉛) | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
黄銅(C26000) | 70:30 | 良好な加工性、一般的な真鍮として広く使用される | 建築、工芸品、日用製品 |
銅ニッケル(C46300) | 銅90%、ニッケル10% | 高い強度と耐食性、海水環境にも適応 | 海洋機器、航空機、電子機器 |
銅亜鉛(C28000) | 65:35 | 優れた耐食性、装飾品に適している | 装飾品、建材、パイプ |
銅アルミニウム(C68700) | 銅90%、アルミ10% | 耐食性と強度が高く、機械部品に使用されることが多い | 工業部品、機械部品 |
真鍮の種類と用途
- 黄銅(C26000)は一般的な用途に最適で、特に日常的な製品や建築材、工芸品に使用されます。加工が容易で、価格も手頃です。
- 銅ニッケル(C46300)は強度や耐腐食性が求められる環境に適し、特に海水環境で使用されることが多いです。
- 銅亜鉛(C28000)は装飾性が高いため、装飾品や建材、パイプに使用され、耐食性に優れています。
- 銅アルミニウム(C68700)は機械部品に適し、過酷な環境でも高い強度と耐食性を発揮します。
使用される場面の違い
真鍮はその特性から多くの場面で使用される金属です。例えば、以下のように使われます:
- 建築や工芸品では、黄銅が主に使用され、加工性の高さが求められます。
- 海洋機器や航空機など、耐食性や強度が重要な用途では、銅ニッケルが使用されます。
- 装飾品や建材には、銅亜鉛が用いられ、その耐食性や美しい仕上がりが求められます。
- 機械部品では、銅アルミニウムが選ばれ、その耐食性と高強度が活かされます。
このように、真鍮はその種類や特性に応じて、用途が細かく分かれます。
コストパフォーマンスの比較: 銅と真鍮
銅と真鍮は、それぞれ異なる特性を持ちながら、コストパフォーマンスにおいても差があります。以下では、銅と真鍮のコストパフォーマンスを比較し、それぞれの特性がどのようにコストに影響するのかを見ていきます。
銅のコストパフォーマンス
特性 | 内容 |
---|---|
コスト | 銅は比較的高価で、特に高純度のものは価格が上昇します。 |
利点 | – 非常に高い電気伝導性と熱伝導性を持ち、電気機器や熱交換器に最適。 – 長期的な耐久性があり、メンテナンスコストが低く抑えられる。 |
欠点 | – 高価であるため、大量に使用する場合のコストが大きくなる。 – 一部の用途では、コストに見合った性能を得られないことがある。 |
コストパフォーマンス | 高性能が要求される用途では非常に高いコストパフォーマンスを発揮するが、コストが高いため大量生産や安価な製品には向かない。 |
真鍮のコストパフォーマンス
特性 | 内容 |
---|---|
コスト | 銅よりは安価で、亜鉛の割合によりさらにコストが抑えられる。 |
利点 | – 強度、耐腐食性が高く、耐久性のある材料としてコストパフォーマンスが良い。 – 加工しやすく、装飾品や機械部品など多くの分野で利用されている。 |
欠点 | – 銅に比べると、電気伝導性や熱伝導性は劣る。 – 特定の環境下(高温や海水)では性能が劣化することがある。 |
コストパフォーマンス | コストと性能のバランスが取れており、多くの用途で良好なコストパフォーマンスを発揮する。特に装飾品や機械部品ではその特性を活かせる。 |
コストパフォーマンスの比較
比較項目 | 銅 | 真鍮 |
---|---|---|
原材料コスト | 高価(高純度銅は特に高い) | 銅より安価(亜鉛が主成分) |
性能 | 非常に高い(電気伝導性、熱伝導性) | 強度と耐腐食性に優れるが、電気・熱伝導性は劣る |
用途 | 電気機器、熱交換器、建材など | 機械部品、装飾品、建材など |
コストパフォーマンス | 高性能が求められる用途に向いているが、コストが高い | 幅広い用途で良好なコストパフォーマンスを発揮 |
真鍮の材料記号と識別方法
材料記号のルールと意味
真鍮の材料記号は、主に銅(Cu)と亜鉛(Zn)の比率に基づいています。また、その他の合金元素や特性を示す情報も含まれることがあります。以下に代表的な材料記号とその意味を示します。
材料記号 | 意味 |
---|---|
C26000 | 黄銅(銅と亜鉛の比率が約70:30)で、一般的な真鍮。機械部品や装飾品などに使用される。 |
C46400 | 銅亜鉛合金で、海水や腐食環境に強い耐食性を持つ。海洋構造物や高耐腐食性が求められる製品に使用。 |
C11000 | 高純度の銅(99.9%以上)、真鍮ではないが、電気伝導性に優れる。電気機器や配線などに使用される。 |
C28000 | 銅と亜鉛の合金で、比較的強度が高い。機械部品や工具などに使用。 |
C2801 | 高い加工性を持つ黄銅。精密部品や金属加工品に使用される。 |
材料記号の構成要素
材料記号は、通常次のような情報を含んでいます。
- アルファベット(C): 「C」は銅(Copper)を示し、その後に続く数字や文字は合金の種類や特性を示します。
- 数字: 数字は、銅と亜鉛の比率やそのほかの合金元素の含有量を示します。例えば、C26000は70%の銅と30%の亜鉛からなる黄銅を示します。
- 後続のアルファベット(必要に応じて): 特定の用途や特性に合わせて、耐食性や強度、加工性などの追加的な情報が記号に付加されることがあります。
真鍮の識別方法
真鍮を識別するためには、材料記号の確認が最も簡単な方法ですが、以下の点も確認することで、より詳細に識別することができます。
- 色合い: 真鍮は金色の光沢を持つため、他の金属との識別に役立ちます。ただし、表面が酸化すると色が変わることがあります。
- 硬さ: 真鍮の硬さは亜鉛の含有量に影響され、亜鉛の割合が高いほど硬くなります。硬さを測定することで、真鍮の種類をある程度推測できます。
- 化学分析: 真鍮の化学成分を分析することで、銅と亜鉛の比率やその他の合金成分を確認できます。これにより、正確に材料を識別することが可能です。
材料記号の重要性
材料記号を理解することで、以下の利点があります。
コスト管理: 同じ特性を持つ異なる真鍮を選ぶことで、コストを最適化することができます。
適切な用途選定: 真鍮の特性に基づき、最適な材料を選定することができます。例えば、耐食性が求められる場合はC46400を選ぶことができます。
品質管理: 材料記号を使用して、製品の品質を管理し、一貫した品質を保つことができます。
記号による真鍮の種類の見分け方
代表的な真鍮の種類と記号
真鍮は金属の一種で、さまざまな用途に使用されます。その特徴を正確に理解するためには、マテリアル記号に注目することが非常に重要です。以下は代表的な真鍮の種類とその記号です。
材料記号 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
C36000 | 一般的な真鍮、加工性が良好 | 機械部品、金具、電気接続部品 |
C26000 | 冷間加工用真鍮、良好な延性 | 配管、冷却部品、建築用途 |
C46400 | 高い耐食性、特に自然腐食に強い | 海水環境、耐腐食性が求められる部品 |
C23000 | 低亜鉛含有で、良好な圧延性と熱処理性 | 特殊用途の構造部品、電気機器 |
記号の読み方とその意味
真鍮の材料記号は、合金の成分や特性に関する情報を含んでいます。これにより、適切な材料選定が可能となります。
- C: 銅合金を示すプレフィックス。真鍮の場合、通常「C」から始まります。
- 数字: 合金の成分比や特性を示します。例えば、C36000では「360」が一般的な加工用真鍮を示し、「00」はその特性に関連する識別コードです。
マテリアル記号の理解と選定
マテリアル記号を理解することで、真鍮の種類を簡単に見分けることができます。使用目的に応じて適切な真鍮を選び、その特性を最大限に活かすことが重要です。真鍮の選定を誤ると、耐久性や加工性に問題が生じる可能性があるため、正確な記号の理解は不可欠です。
材料記号を利用した真鍮選びのコツ
真鍮は様々な種類があり、材質記号を使って見分けることができます。以下のコツを参考にして、使用目的に最適な真鍮を選びましょう。
- C26000: 銅と亜鉛の割合を示す真鍮。冷間加工用で良好な延性を持ち、配管や冷却部品に適しています。
- C36000: 加工性が優れた真鍮。機械部品や金具に向いており、電気接続部品にも使用されます。
- C46400: 高い耐食性を持つ真鍮。特に海水環境や腐食に強い特性があり、耐腐食性が求められる部品に使用されます。
材料記号を理解することで、自分のニーズに合った真鍮を選ぶ際の参考になります。選定時は、特性に合った真鍮を選び、用途に応じた最適な材料を選ぶことが大切です。
まとめ
真鍮は金属材料の一種であり、その特徴や種類を理解することは重要です。真鍮の中には、黄銅や赤銅、亜鉛などの成分が含まれており、それぞれの割合によって異なる特性を持ちます。マテリアル記号を活用することで、真鍮を正確に識別することができます。また、真鍮は耐食性に優れ、加工しやすいという特性があります。これらの特徴を理解することで、素材選びに役立てることができます。